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白無垢まめ知識

白無垢の構造が知りたい。白無垢に身につける小物の種類と役割

白無垢を着るには、白無垢(打掛)だけでなく、白無垢の下に着る掛下や帯、着付けるために必要な小物、飾り小物などが必要です。今回は、白無垢がどのように着付けられているかを、白無垢に必要なものを交えながら紹介します。

白無垢を着るために必要なもの

白無垢に綿帽子

清らかなたたずまいが美しい白無垢姿。白無垢(打掛)の下はどうなっているか気になりますよね。たくさん重ね着しているイメージを持たれるかもしれませんが、白無垢(打掛)はもともと小袖の上に羽織る上着でした。つまり、白い着物の上に白無垢(白い打掛)を羽織っているとイメージしてください。


白無垢の下はどうなっている?

掛下の前姿

白無垢の掛下前姿

​白無垢の下には「掛下(かけした)」と呼ばれる専用の振袖を着用します。打“掛”の“下”に着るから“掛下”と呼ばれます。通常の着物を着るのと同じように、肌襦袢(はだじゅばん/肌着)、長襦袢(ながじゅばん)、掛下の順に着付けます。このときに腰紐や伊達締めといった着付け小物を用います。掛下には掛下専用の掛下帯を締めます。写真はおはしょりを取らずに裾を引いて着付けています。ドレスのようで素敵ですよね。外に出る前提であれば、おはしょりを取って着付けることもあります。

掛下の後ろ姿

掛下の後ろ姿
掛下の後ろ姿は、振り袖の後ろ姿と比べるとボリュームはありません。掛下帯はなるべく高い位置で「文庫結び」にすると、白無垢を羽織ったときの後ろ姿がきれいに見えるといわれています。衿の抜き加減は通常の着物姿よりも抜くと美しく仕上がります。抜きすぎると粋になりすぎ、詰めすぎるとカジュアルになってしまいます。掛下の着付けも、白無垢姿を美しく見せるのに大切なポイントです。


身につけたのはこちら
掛下と掛下帯の置き撮り

掛下

打“掛”の“下”に着る振袖のことで、おはしょりを取らず、裾を引くように着付けます。白無垢には白地が基本ですが、現在はお洒落として色ものの掛下着を合わせることもあります。

掛下帯

掛下に用いる専用の帯です。婚礼用の丸帯で、幅は24~26cmと一般の帯幅(約30cm)よりも小さめに作られています。通常の帯は裏地に異なる生地を使用しますが、丸帯は表も裏も同じ生地を用いるのが特徴です。

着付けに必要な小物

掛下・打掛を着るには専用の小物が必要になります。このほかに必要に応じて補正用のタオルなども用います。

着付け小物(帯板、前板、後ろ板、打掛ベルト、コーリンベルト、腰紐、伊達締め、帯枕)

帯枕

掛下帯の形を補助する小物です。背中につけて、帯の形を整えます。
 

帯板

掛下帯を締める際に前後にはさみ、それぞれ前板・後ろ板と呼ばれます。前板は前帯の部分にしわがよらないように、後ろ板は帯の下線を真っ直ぐにする役割があります。長いほうが前板、短いほうが後ろ板です。
 

腰紐

腰などで結ぶ紐で、長襦袢に1本、掛下に2本、帯の仮留め用に1〜2本必要になります。締まりすぎず、ゆるみにくいモスリン(ウール)素材のものがよく用いられます。

伊達締め

長襦袢に1本、掛下に1本必要です。 長襦袢には衿合わせを安定させるため、掛下には衿合わせを安定させ、おはしょりを真っ直ぐに整えるために使います。

コーリンベルト/打掛ベルト

 白無垢(打掛)の上前を固定するのに用います。
 

白無垢の飾り小物

白無垢小物の名称と役割

掛下は帯揚げ、帯締めといった飾り小物を使って着付けますが、ほとんど装飾的な意味合いで用いられます。白無垢には通常、白い小物を合わせますが、最近はカラフルな小物を合わせてお洒落に着こなすようになりました。

筥迫(はこせこ)

江戸時代に武家の若い女性が鏡やお白い、紅筆、懐紙などを入れて持ち歩いた化粧ポーチ。現在は七五三や花嫁の装飾品として、掛下の衿と衿の間に入れ込みます。

懐剣(かいけん)

本来は武家の女性が嫁ぐ際に護身用に懐に入れた短剣のこと。打掛はもともと武家の女性の花嫁衣装だったため、「自分の身は自分で守る」という意志が込められました。また、剣は古くかから神が宿るものと見なされていたため魔除けの役割もありました。現在は飾り用で、帯の左側に挿します。

末広(すえひろ)

扇子のこと。その形から「末広がりでおめでたい」との意味が込められてこう呼ばれています。開いて使うのはマナー違反になります。

半衿(はんえり)

もともとは長襦袢の衿につけて汚れを予防するためのもので、長さが衿の半分程度であることから「半衿」と名付けられました。現在では顔まわりに近いこともあり、装飾品の役割が大きくなっています。縫い付ける以外に、布用両面テープで貼ったり、安全ピンで留めたりして使います。

伊達衿(だてえり)

衿の下に別の衿を重ねて、衿元だけ何枚も着ているように見せかけるために用います。白無垢の場合は掛下と呼ばれる振り袖の衿につけます。「重ね衿」とも呼ばれます。
昔は礼装といえば二枚重ね、花嫁衣装は三枚重ねと着物を重ねて着るしきたりが元になっています。

帯揚げ(おびあげ)

帯枕にかけ、帯結びの形を支えたり、帯の結び目が下がらないようにするために用います。帯周りの色彩として、装飾品としての役割も果たします。

帯締め(おびじめ)

帯の上から締めて、抑える装飾品です。通常の着物には平たい「平紐」を使用することが多いですが、婚礼衣装には中綿の入った「丸ぐけ」を用います。ボリュームがあり、華やかに仕上がります。

抱え帯(かかえおび)

帯の下部分に沿って締める平ぐけの帯です。装飾品として用いられていますが白無垢や打掛を羽織るとほぼ見えないので、振り袖や引き振り袖の装飾品と言ってもよいかもしれません。もともとは着物の裾をたくし上げたときに、裾を押さえるために用いた帯でした。白無垢を羽織ると見えないので、見えないおしゃれになります。
 

色小物を身につけた白無垢姿

白無垢小物の名称と着付け箇所

色小物を身につけた白無垢姿です。身につけるとまた違った印象を受けるのではないでしょうか。こちらはすべて同系色の小物でまとめたセットになりますが、伊達衿や帯揚げをアクセントカラーに用いたセットもご用意しています。小物使いにより雰囲気が変わるので、色小物を選んで愉しんでみてください。

白無垢屋の小物セットはこちら▷
 

そのほかに必要なもの

草履(ぞうり)

花嫁草履の高さ

礼装用はかかとの高い草履を用い、かかとが高いほど華やかな印象になります。身長にもよりますが、白無垢には高さ8センチ前後の白の草履を選ぶとよいでしょう。ただし、新郎さまとの身長のバランスに合わせて草履の高さを決めることもあります。一般的には10〜15センチの身長差があるとバランスがよいといわれています。歩きやすさも大切ですが、長距離を歩くわけではないので、迷ったらバランスで決めてよいかと思います。

白無垢用の下着(肌襦袢)


白無垢を着るときは通常、和装ブラ→肌襦袢→長襦袢→掛下→白無垢(打掛)の順番に重ね着します。和装ブラはパッドがなだらかなブラトップで代用できます。肌襦袢も長襦袢も下着ですが、長襦袢は見られてもよい下着です。一般的な長襦袢は絹でつくられるためお手入れが大変なので、肌襦袢を着用して汗や皮脂による汚れを防ぐ役割があります。
白無垢を着るときは掛下、白無垢ともに、うなじが見えるように衿の後ろをやや下げて着付けます。これを「衿を抜く」といいます。一般的な肌襦袢だと襟ぐりが空いていないので、下着が見えてしまう可能性があります。そこで、婚礼和装専用の花嫁下着は襟ぐりが広く開いています。『白無垢屋』では肌襦袢よりも着用しやすいワンピースタイプを用意しており、白無垢をレンタルされる方のみ購入可能です。せっかくの礼装ですから、ぜひ下着も婚礼和装専用のものを着用しましょう。

足袋


白無垢には白足袋を着用します。足袋のかかとに付いている留め具を「こはぜ」といい、主に4枚こはぜが一般的ですが、婚礼和装や日本舞踊では足首がしっかり覆われる5枚こはぜが正式とされています。素材は化学繊維より、木綿のキャラコ足袋がふさわしいでしょう。『白無垢屋』では足袋は衛生的に購入いただくのがよいと考えています。
 

白無垢特有のヘアスタイル

もともと白無垢には、文金高島田といわれる和髪のかつらを合わせることがほとんどでした。最近では白無垢にも洋髪を合わせるようになりましたが、白無垢ならではのヘアスタイルは憧れのひとつではないでしょうか。

 

綿帽子(わたぼうし)

白無垢に綿帽子

白無垢での挙式にのみ合わせることができる、白無垢姿を象徴する帽子で、挙式が終わるまで花嫁の顔を新郎以外に見られないように着用します。花嫁の初々しさや奥ゆかしさを象徴しています。専用の器具を用いると、洋髪でもかぶることができます。

 

角隠し(つのかくし)

白無垢に角隠し

文金高島田の上につける帯状の白い布のこと。白無垢、色打掛、引き振袖と婚礼用和装のすべてに合わせることができます。その起源は、江戸時代に女性が外出の際に魔よけやほこりよけとしてかぶっていた揚帽子(あげぼうし)といわれます。綿帽子と違い、色打掛や引き振袖にも合わせることができます。


「綿帽子」について詳しく知りたい方はこちら▷

「角隠し」について詳しく知りたい方はこちら▷