白無垢を着るには、白無垢(打掛)だけでなく、白無垢の下に着る掛下や帯、着付けるために必要な小物、飾り小物などが必要です。今回は、白無垢がどのように着付けられているかを、白無垢に必要なものを交えながら紹介します。
打“掛”の“下”に着る振袖のことで、おはしょりを取らず、裾を引くように着付けます。白無垢には白地が基本ですが、現在はお洒落として色ものの掛下着を合わせることもあります。
掛下に用いる専用の帯です。婚礼用の丸帯で、幅は24~26cmと一般の帯幅(約30cm)よりも小さめに作られています。通常の帯は裏地に異なる生地を使用しますが、丸帯は表も裏も同じ生地を用いるのが特徴です。
腰などで結ぶ紐で、長襦袢に1本、掛下に2本、帯の仮留め用に1〜2本必要になります。締まりすぎず、ゆるみにくいモスリン(ウール)素材のものがよく用いられます。
長襦袢に1本、掛下に1本必要です。 長襦袢には衿合わせを安定させるため、掛下には衿合わせを安定させ、おはしょりを真っ直ぐに整えるために使います。
掛下は帯揚げ、帯締めといった飾り小物を使って着付けますが、ほとんど装飾的な意味合いで用いられます。白無垢には通常、白い小物を合わせますが、最近はカラフルな小物を合わせてお洒落に着こなすようになりました。
江戸時代に武家の若い女性が鏡やお白い、紅筆、懐紙などを入れて持ち歩いた化粧ポーチ。現在は七五三や花嫁の装飾品として、掛下の衿と衿の間に入れ込みます。
本来は武家の女性が嫁ぐ際に護身用に懐に入れた短剣のこと。打掛はもともと武家の女性の花嫁衣装だったため、「自分の身は自分で守る」という意志が込められました。また、剣は古くかから神が宿るものと見なされていたため魔除けの役割もありました。現在は飾り用で、帯の左側に挿します。
扇子のこと。その形から「末広がりでおめでたい」との意味が込められてこう呼ばれています。開いて使うのはマナー違反になります。
もともとは長襦袢の衿につけて汚れを予防するためのもので、長さが衿の半分程度であることから「半衿」と名付けられました。現在では顔まわりに近いこともあり、装飾品の役割が大きくなっています。縫い付ける以外に、布用両面テープで貼ったり、安全ピンで留めたりして使います。
衿の下に別の衿を重ねて、衿元だけ何枚も着ているように見せかけるために用います。白無垢の場合は掛下と呼ばれる振り袖の衿につけます。「重ね衿」とも呼ばれます。
昔は礼装といえば二枚重ね、花嫁衣装は三枚重ねと着物を重ねて着るしきたりが元になっています。
帯枕にかけ、帯結びの形を支えたり、帯の結び目が下がらないようにするために用います。帯周りの色彩として、装飾品としての役割も果たします。
帯の下部分に沿って締める平ぐけの帯です。装飾品として用いられていますが白無垢や打掛を羽織るとほぼ見えないので、振り袖や引き振り袖の装飾品と言ってもよいかもしれません。もともとは着物の裾をたくし上げたときに、裾を押さえるために用いた帯でした。白無垢を羽織ると見えないので、見えないおしゃれになります。
礼装用はかかとの高い草履を用い、かかとが高いほど華やかな印象になります。身長にもよりますが、白無垢には高さ8センチ前後の白の草履を選ぶとよいでしょう。ただし、新郎さまとの身長のバランスに合わせて草履の高さを決めることもあります。一般的には10〜15センチの身長差があるとバランスがよいといわれています。歩きやすさも大切ですが、長距離を歩くわけではないので、迷ったらバランスで決めてよいかと思います。
白無垢を着るときは通常、和装ブラ→肌襦袢→長襦袢→掛下→白無垢(打掛)の順番に重ね着します。和装ブラはパッドがなだらかなブラトップで代用できます。肌襦袢も長襦袢も下着ですが、長襦袢は見られてもよい下着です。一般的な長襦袢は絹でつくられるためお手入れが大変なので、肌襦袢を着用して汗や皮脂による汚れを防ぐ役割があります。
白無垢を着るときは掛下、白無垢ともに、うなじが見えるように衿の後ろをやや下げて着付けます。これを「衿を抜く」といいます。一般的な肌襦袢だと襟ぐりが空いていないので、下着が見えてしまう可能性があります。そこで、婚礼和装専用の花嫁下着は襟ぐりが広く開いています。『白無垢屋』では肌襦袢よりも着用しやすいワンピースタイプを用意しており、白無垢をレンタルされる方のみ購入可能です。せっかくの礼装ですから、ぜひ下着も婚礼和装専用のものを着用しましょう。
白無垢には白足袋を着用します。足袋のかかとに付いている留め具を「こはぜ」といい、主に4枚こはぜが一般的ですが、婚礼和装や日本舞踊では足首がしっかり覆われる5枚こはぜが正式とされています。素材は化学繊維より、木綿のキャラコ足袋がふさわしいでしょう。『白無垢屋』では足袋は衛生的に購入いただくのがよいと考えています。
もともと白無垢には、文金高島田といわれる和髪のかつらを合わせることがほとんどでした。最近では白無垢にも洋髪を合わせるようになりましたが、白無垢ならではのヘアスタイルは憧れのひとつではないでしょうか。
白無垢での挙式にのみ合わせることができる、白無垢姿を象徴する帽子で、挙式が終わるまで花嫁の顔を新郎以外に見られないように着用します。花嫁の初々しさや奥ゆかしさを象徴しています。専用の器具を用いると、洋髪でもかぶることができます。