白無垢伝統文化
白無垢の柄の魅力 さまざまな文様の意味 -植物の柄-
白無垢を選ぶとき、柄(模様・文様)は大きな決め手になります。吉祥文様と呼ばれるおめでたい柄や季節感のある植物、上品で可憐な花…。古から受け継がれた文様に込められた意味を知れば、より白無垢選びが愉しくなります。そこで、数ある文様のなかから今回は植物モチーフの文様を紹介します。
植物モチーフの文様
松竹梅文(しょうちくばいもん)
松・竹・梅ともに日本人にとってはなじみのある植物。中国では「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」と呼ばれ、文人(ぶんじん/知識層)により好まれる画題のひとつでした。冬の寒さのなかでも緑に茂る松、まっすぐに伸びる竹、花を咲かせる梅。ともに寒さに耐えることから、逆境に屈しない君子の象徴として尊ばれましたが、日本ではやや認識が変わり、おめでたいものの象徴の吉祥文様として用いられています。松、竹、梅それぞれは平安時代から柄として見られますが、三つを組み合わせるようになったのは室町時代からだと言われています。また、食事処の定食やお弁当などのランク分けでおなじみですが、着物の柄にはランクはありません。
スタッフからのひと言
吉祥文様のなかで最もよく用いられ、ご両親、ご親戚からも喜ばれる文様です。かわいらしい梅の花と、生きいきと伸びた枝が写実的で、打掛の中に物語が垣間見られます。余白もほどよくあるので、背の高めな花嫁さまにも身長を気にせず着ていただけると思います。
▷陽春の慶
桜文(さくらもん)
日本を代表する花であり、白無垢に限らず着物全般に人気の高い柄です。平安時代より貴族に愛され、文様化されるようになりました。春に咲くため「新しい門出」をイメージさせ、季節にこだわらず用いられます。
スタッフからのひと言
文様の大きさ、全体に広がるような柄か集まったように描かれているかに注目してみてください。着付けの先生によると、小ぶりの柄を着た場合は、体の大きさや身長が目立たなくなるのだとか。背が高い方は、柄と柄の間に余白があるものや、大ぶりな柄が入っていると白無垢姿が一層映えるそうです。迷ったときの参考にしてくださいね。
▷爛漫
▷桜らんまん
▷銀入鶴に花集流水
▷金糸桜道長に鶴
▷桜牡丹に屏風
梅文(うめもん)
厳しい寒さのなか、どの花よりも早く咲くことから「百花のさきがけ」とも言われる梅の花。着物では新春一番に着る柄として親しまれてきました。堪え忍ぶ静かな力強さと美しさを表します。「産め」と掛けて、安産祈願も込められているという説もあります。
スタッフからのひと言
▷花車に松鶴
▷魁の慶び
松文(まつもん)
常緑であることから常盤木(ときわぎ)と呼ばれ、千年の樹齢を保つ吉祥樹とされる松。季節を選ばず用いられます。単独というよりは、先に紹介した松竹梅文やの松喰い鶴文など、組み合わせて多くの白無垢に用いられます。松葉を笠のように、枝を紐のように図案化した「笠松」、芽生えてまもない若い松を文様化した「若松」などさまざまな文様があります。
スタッフからのひと言
吉祥文として代表的な文様で、伝統や昔ながらのしきたりを大切にされているご両親、ご親戚の方々に特に喜んでいただける柄です。松文だけでなく、花や鶴なども柄として入るので堅苦しい印象はありませんし、凛として上品な印象になります
▷花車に松鶴
▷菊花牡丹に鶴
▷銀入地紙くずし松川
牡丹文(ぼたんもん)
中国原産の花で、幾重にも重なる花びらは一輪でもふっくらとボリュームがあり、「百花の王」と称されます。見た目の豪華さから「富貴草(ふうきぐさ)」とも呼ばれ、富貴吉祥と繁栄隆盛の意味が込められています。気品や風格が漂う文様です。蟹の形を文様化した「蟹牡丹」や唐草文に牡丹を描いた「牡丹唐草文」も有名です。
スタッフからのひと言
花の中でも特に存在感があり、大ぶりな牡丹の文様が入った白無垢は特に華やかです。鶴や花車とも一緒に描かれ、花嫁さまの持つ美しさを一層引き立ててくれます。柄自体がはっきりとしているので、屋内・屋外ともに写真映えする柄です。髪飾にもよく使われるので、合わせてコーディネートするのもすてきです。
▷菊花牡丹に鶴
▷銀入地紙くずし松川
▷銀入鶴に花集流水
▷流水花紋様
▷桜牡丹に屏風
▷相良鳳凰の舞
菊文(きくもん)
日本のパスポートや皇室の紋章にも用いられる菊は、桜とともに古来愛でられてきました。中国の「重陽の節句(九月九日)」にならい、中世の人々は菊花の宴を催しました。秋を代表する花ですが、文様では古典的な吉祥文様として季節を問わず多く用いられます。中国では「仙花」といわれ、薬の力を持つ花とされます。
スタッフからのひと言
お花屋さんでは地味な印象を受けるかもしれませんが、菊は昔から高貴な花として着物の柄に取り入られています。6〜8月に咲く夏菊や12〜1月に咲く寒菊もあり、季節を問わずにお召しいただけます。桜といっしょに描かれる場合、「春秋柄」とも呼ばれます。
▷菊花牡丹に鶴
▷銀入鶴に花集流水
椿文(つばきもん)
椿は一年中葉が青いことから常盤木(ときわぎ)と呼ばれ、古来縁起のよいものとされていました。12月から3月ごろ咲く冬の花で、「春」の「木」という漢字の作りが示すように、春を待つ花として好まれ多く文様化されています。また、悪霊を払う力があると考えられ、神事に欠かせない木でした。江戸時代に『百椿図(ひゃくちんず)』が出るなど椿のブームが起こり、文様としても人気が出たそうです。 江戸時代初期の茶人・小堀遠州が好んだ図案化された椿柄は「遠州椿」と呼ばれます。
スタッフからの一言
椿柄の白無垢は艶やかな印象があります。武家では椿は首から落ちるため縁起がよくないとされましたが、現代では特に気にせずお召しいただけます。
▷椿
花車文(はなぐるまもん)
平安時代の貴族が乗った牛車に花を積んだものや車輪に花をあしらったものなどがあります。優美で満ち足りた豊かさを表す吉祥文様で、華麗な古典柄として、振袖や留袖、袋帯などにも使われています。
スタッフからのひと言
貴族にまつわる道具が描かれていると、それだけで雅やかな雰囲気が漂います。
▷古典花車
▷花車に松鶴
▷花車流水
花丸文(はなまるもん)
草花を丸い形に収めたものを「花丸文」「花の丸紋」と呼びます。「円=縁」に繋がることから、花嫁衣装によく用いられる丸文。丸(円)は始点も終点もないことから無限を表すため、縁起がよいとされています。
スタッフからのひと言
一種類の花丸文もあれば、数種類の草花を組み合わされることもあります。丸い形は優しく可愛らしい印象です。
▷飛翔
花かご文(はなかごもん)
かごに入った花々を文様化した花かご文。古代中国では八仙(中国の七福神のようなもの)の一人である
藍采和(らんさいわ)を表すともいわれ、絵画や陶器、蒔絵、小袖の文様として使われます。
スタッフからのひと言
白無垢では珍しい柄だと思います。「人とかぶりたくない」という方にもおすすめです。
▷パステル花かご桜
四季草花文(しきそうかもん/しきくさばなもん)
桜、牡丹、桔梗、撫子、菊、梅など、春夏秋冬、四季折々を代表する草花が描かれた柄。
スタッフからのひと言
さまざまな草花が描かれ、にぎやかで豪華な印象があります。
▷花集渦に鶴
▷飛翔
▷流水花紋様
白無垢の柄の魅力 さまざまな文様の意味 その2. 動物柄・その他