みなさまは白無垢を選ぶとき、まず最初にどこを見るでしょうか?
白無垢のお色味?それとも柄でしょうか?恐らくほとんどの方が柄を見て選ばれるでしょう。
伝統的な吉祥文とよばれるおめでたい文様に加え、個性的なものや、上品でかわいらしいものなど、数ある文様の中からいくつかをピックアップしご紹介します。
柄の意味を知れば、ご両親さまや親戚の方などに、なんでこの白無垢を選んだのかお話でき、会話も弾むかもしれません。
せっかくの機会、選ぶ意味も大切にしながら結婚式を迎えましょう!
1. 植物の文様
松竹梅文
「松竹梅」は新年や一般の慶事に用いられる吉祥文様の代表格で、中国では、松竹梅を「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」といい、高潔な生き方のたとえとしてきました。松、竹、梅それぞれは平安時代から柄として見られますが、この三つを組み合わせるようになったのは、室町時代からだと言われています。
松竹梅文の中で表現されている梅文についてですが、梅は「百花のさきがけ」というように、厳しい冬の寒さの中で香り高く咲き初めるので、古来東洋で尊ばれてきました。「梅」は、日本には天平時代(八世紀)の初めに中国より渡来し、詩歌にも取り入れられています。新春一番に着る柄として親しまれ、春到来の季節を感じさせるため、白無垢以外にも多くの着物の文様に使われています。
スタッフからの一言
吉祥文の中で最もよく使われる松竹梅の文様は、ご両親さま、ご親戚さまからも喜ばれる文様です。かわいらしい梅の花と、生きいきと伸びた枝が写実的で、打掛の中の世界に物語がみえます。余白もほどよくあるので、背の高めな花嫁さまにも身長を気にせず着ていただけると思います。
椿文
椿は12月から3月ごろ咲く冬の花で、春の到来を告げる木として文様化されてきました。春の木という漢字の作りが示すように、春を待つ花として冬の季節感が出ています。また、常緑樹の中でも殊に“聖なる木”とされ、昔から悪霊を払う力があると考えられ、神事に欠かせない木だったようです。江戸時代に椿のブームが起こり、『百椿図』が出るなど、観賞栽培が盛んになるにつれ、文様としても人気が出てきたそうです。着物の文様としては、季節感とともに「幸福や繁栄」の意味も込められています。
スタッフからの一言
白無垢屋の白無垢【椿】の素材は、100%絹を使用した「正絹(しょうけん)」です。上質な素材の白無垢なので、見た目にも、着ていただいても、この白無垢の良さに気づいていただけると思います。また、お色味も光沢感はなく、落ち着いた生成色なので、屋外での撮影でも上品に映ります。
松文
松と一口に言っても、文様はさまざま。例えば、松葉を笠のように描き、枝を紐のように組み合わせた、「笠松」。芽生えてまもない若い松を文様化した「若松」などがあります。
松は、松竹梅文や松喰い鶴の吉祥文を表現するため多く用いられるほど、人々の身近にあった樹木でした。ただそれだけでなく、神聖、清浄なものとしての意味もあります。文様に関する専門書にも「四季を通じて変わることなく緑を保ち、千年の樹齢をもって大木となる雄々しい姿が着る人、見る人を惹きつける」と書かれています。また、平安中期には常緑樹の中でも「門松」として歳神様の依代(よりしろ:神さまが乗り移られるもの)にもなっています。
スタッフからの一言
吉祥文として代表的な文様なので、伝統や昔ながらのしきたりなどを大切にされているご両親さま、ご親戚の方々には特に喜んでいただける柄です。松文だけでなく、花や鶴なども柄として入るので、堅苦しい印象はしませんし、とても凛として、上品な印象になります。
桜文
桜は平安時代に貴族に愛され、文様化されるようになりました。それまで「花」といえば梅を意味したものが、この時代以降、桜がとって代わりました。桜の柄も表現の仕方はさまざまで、例えば、小さな桜の花や花びらを一面に散らした模様の「小桜」や、春の桜に秋の楓を組み合わせてひとつの文様にした「桜楓」などがあります。日本を代表する花であるため、単に季節を象徴するのではなく、「花の文様」として、季節にこだわらず用いられています。
スタッフからの一言
桜の文様の大きさに注目してください。選ばれた白無垢の桜の大きさはどのくらいでしょうか。また、全体に広がる柄になっているのか、集まったように桜が描かれているのかも重要です。着付けの先生によれば、小ぶりの柄を着た場合、体の大きさや身長などが気にならないそうなのです。その逆で、背が大き目の方は、柄と柄の間に余白があるものや、大ぶりな文様が入っているとよいそうですよ。ただ一番は、自分はどんな柄が好きなのか?ということなので、そうした自分の思いを大切に、白無垢をお選びください。
牡丹文
牡丹の原産は中国で、豪華さから中国では「百花の王」と言われ、身分の高いものの象徴とされています。日本には奈良時代に伝わり、一般に人気になってきたのは、花自体の栽培が進んだ江戸時代からで、襖絵、屏風、食器類に多く描かれていたそうです。また、牡丹は様々な模様として表現されてきましたが、そのひとつに蟹の形を文様化した「蟹牡丹」があります。他にも唐草文に牡丹花とその葉を描いた「牡丹唐草文」も有名です。唐の時代に牡丹鑑賞が好まれ、その時代相を反映してこの文様が完成しました。この文様は、ありのままを描く自然主義の造形感覚によって、写生画の様に表現されています。
スタッフからの一言
大ぶりな牡丹の文様が入った白無垢は特に華やかで、花の中でも特に存在感があります。鶴や花車などと一緒に描かれ、花嫁さまの持つ美しさを一層引き立ててくれます。柄自体がはっきりとしているので、屋内屋外共に写真映えする柄です。髪飾りやヘッドパーツにも牡丹はよく使われるので、髪飾りと合わせてみるのもすてきです。
2. 鳥の文様
鶴文
よく知られているのは、「鶴は千年、亀は万年」という言葉ですよね。
古くから、鶴は日本人の心情にぴたりと寄り添う鳥と考えられてきました。また、立ち姿も飛び交う姿も優雅で気品があり、穏やかな性質である鶴は、長寿の瑞鳥(ずいちょう)であると言われます。瑞鳥とは、おめでたいことの起こる前兆を表す鳥のことです。古代エジプトなどのエリアで生まれた「花喰い鳥文」が、鳩やオウムまたは異国の鳥であったのが、平安時代に和風化されて鳥は“鶴”となりました。こうして“鶴文”が日本で定着したのも、身近に一番おめでたい鳥として鶴がいたからだろうと言われています。こうしたことから、鶴は基本的に吉祥、瑞祥を表すモチーフとして使われ、鶴亀の組合せや松竹梅鶴亀などの喜びや品位を象徴する文様となりました。鶴の生態としては、夫婦で生涯添い続ける鳥であることから、夫婦仲の良い鳥としても縁起がよく、祝いの衣裳に使われているようです。
スタッフからの一言
白無垢屋の「鶴文」白無垢の中には、羽の部分のみ金の刺繍がされたものや、相良刺繍と言って、浮き出たように刺繍されたものなど、特徴的な刺繍がほどこされた白無垢もございます。白地の世界を大きな羽を広げ舞う鶴の柄は、遠目でも華やかさを感じることができるので、ご両親さまやご親戚さまにも喜んでいただける柄です。小物合わせも、赤色の小物などとの相性が良いため、キチッとした印象を演出でき、きれいに着こなしていただけますよ。
鳳凰文
鳳凰は別名、不死鳥、フェニックス、火の鳥で、不老不死を与え病気を治すといわれています。この鳥は、古代中国で尊ばれた、鶏や孔雀、獣を合体させた架空の瑞鳥(ずいちょう:おめでたいことが起こる前に現れる鳥)です。平安時代から江戸時代においても人気の高い文様として、特に女性に好まれていたようです。
また、鳳凰の文様で他に代表的なのが「桐竹鳳凰文」です。この文様は、鳳凰が桐の木に住み、竹の実を食べることから、この3つを組み合わせて表現されます。白無垢の柄だけでなく、皇室の衣服や調度品にも多く使われ、吉祥高貴の文様として大切にされています。
スタッフからの一言
文様も大きく、とにかく豪華な印象になります。白無垢屋の白無垢には、鳳凰だけでなく、蝶々や花なども刺繍されているのですが、かわいらしい印象になるのでは…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、全くその様な印象にはならず、むしろ力強く、女性から見てもカッコイイ雰囲気を演出できます。鳳凰文と赤系小物との相性は抜群です!
3. その他、乗り物やかごの文様
花かご文
様々な種類の花を竹で編んだかごに盛った形を文様化しています。実は、古代中国から伝わるいわれによれば、花かごはただ単に、花の美しさを表現した文様ではないそうなのです。
中国の代表的な仙人の一人である韓湘子(かんしょうし)は、衣に穴の空いたボロボロの着物をまといながら、美しい花かごをいつも持ち歩いていたそうです。ですが、ある日、笙(しょう)の音とともに鶴に乗って天空に飛び去ってしまったそうなのです。この伝説から、花かごが美しい仙女を象徴するものとされ、画や陶器、蒔絵や小袖の文様に使われるようになりました。他にも、花かごの形や、中に入っている花によって、格と豪華さが異なるようです。美しい文様の裏には、そうした少し切ない言い伝えが隠されていたのですね。
スタッフからの一言
白無垢屋の「花かご文」白無垢は季節を問いません。ただ、この文様は、季節感を出すこともできます。例えば、もし他のお店の白無垢を見ていて、花かごの中の草花が、秋の草花であれば、柄だけ季節を先取りさせ、着る時期を夏に設定されるのがよろしいかと思います。花嫁さまの粋な心遣いに、列席の方も喜ばれることでしょう♪
花車文
読み方は「はなぐるま」となりますが、「はなふるま」と呼ぶ方もいらっしゃるようです。花で飾った御所車や四季の草花をいれたかごを積んだ車など、様々な表現があります。室町時代に華道が誕生し、それからしばらくして、貴族や武家の間で花を飾ることが風習になりました。江戸時代には、身分が高いものだけでなく、町に住む人たちも華道への憧れがあり、その想いを込めて着物の文様のモチーフに取り入れられました。柄には、御所車の車輪だけに花をあしらったものもあるようです。いずれも華麗な古典柄として、振袖や留袖、袋帯などに使われています。
スタッフからの一言
花車文は華麗な古典柄として、振袖や留袖、袋帯などに使われるので、お母さまの留袖の柄と合わせて選ばれるのもすてきですね!花の乗った御所車がしっかりと見えるので、豪華なイメージです。
楽器文
江戸時代から明治に入り、ある種の憧れの象徴として、面白い形の優雅な古典楽器が文様になりました。五人囃子の一人が持っている小鼓(こづつみ)、琵琶や琴などの雅楽を演奏する際に使う楽器が刺繍や染めで表現されています。上品な形には品格もあり、晴着に向く文様とされています。
スタッフからの一言
白無垢屋の楽器文の入った白無垢は「寛斎手刺繍乙女の誓い」です。この白無垢は、上半身部分には鶴文が入り、下半身部分には楽器文が刺繍されていて、とても豪華な柄の打掛です。他にも、裾はしのお布団のような部分を「ふき」と呼びますが、この部分にも柄が入っているので、どの角度から見ても美しい印象を与えます。相良刺繍に加え、山本寛斎デザインということもあり、人気の白無垢です。
熨斗文
熨斗模様は、熨斗を文様化したもので、吉祥文様のひとつです。熨斗(のし)というのは、本来、鮑(アワビ)の肉を薄く長くはいで、筋状に引き伸ばし乾かしたものだと言われています。祝事の進物にも出され、おめでたい席に使われるものとして、吉祥文として着物の柄に使うようになりました。
また、この熨斗模様でよく着物に使われる柄で「束ね熨斗」という文様があります。これは、細長い帯状の熨斗が数本束になっているものです。
スタッフからの一言
白無垢屋の「飛鶴王朝熨斗(のし)」は、束ねた熨斗が打掛全体に大きく描かれているため、絢爛豪華な印象を受けます。熨斗の中には、蝶々や菊、亀甲文も刺繍され、とてもおめでたい吉祥文の集まった一着です。身長体型などを気にせず、お選びいただける、白無垢選びに間違いのない文様です。
格天井(ごうてんじょう)の文
まず格天井とは、格子状に組んだ木の上に板を張った天井のことを言います。そして、この格天井文は、神社仏閣の天井に張られた板に描かれた絵柄のことで、礼装として格式高い文様と言われています。
スタッフからの一言
特徴としては、格天井の中に花丸紋や、生き生きとした表情で舞う大振りな鶴文が描かれているなど、吉祥文様がぜいたくに描かれていることです。2色で文様が刺繍されているので、立体感があり、写真映えする一着です。余白と柄のバランスも良いので、身長や体型を気にせず着ていただけると思います。
正倉院文
日本の古典文様の中でも、最古と言われるのが正倉院文です。この正倉院文というのは、奈良・東大寺正倉院に伝わる工芸染織品に多くみられる文様の総称です。また、この文様の名前にもなっている正倉院は、奈良時代に東大寺に献納された聖武天皇の遺愛品を保存した宝庫を指します。正倉院文様の中には、架空の花をイメージした「宝相華」、花や松の小枝、あるいは綬(じゅ)という組紐の帯などをくわえた鳥の「花喰い鳥」という文様などがあります。いずれにしても、正倉院文は格調高い文様とされています。
スタッフからの一言
正倉院文の中には、エキゾチックなデザインで丸い形をした柄の「宝相華」という部分があります。この文様がとても華やかなので、豪華な印象を与えます。屋外屋内共に柄の魅力を生かしながら、美しく着ていただける一着です。シンプルさより、華やかで豪華な印象の白無垢をお探しの方におすすめです。